箸にも棒にもかからないものを作れ
この公案に若手実力派5名が答えました
楓長方箱「nami」
楓 神代桂栃 指物 拭き漆
W355×H101×D39mm
100,000円(税別)
小石 崇弘
●Takahiro Koishi
小石崇弘
1991年 群馬県生まれ
2014年 東京芸術大学 美術学部 工芸科漆芸専攻 卒業
2016年 東京芸術大学大学院 美術研究科 工芸専攻木工芸領域修士課程 修了
展示
青山桃林堂、銀座三越、日本橋三越 他
①今回、早乙女哲哉氏に与えられた作品テーマ「箸にも棒にもかからないもの」について、自分なりにどう解釈しましたか? また、でき上がったものについて、ご自身ではどう評価なさいますか?
「使いどころを考えるもの」と受け取りました。
箸や棒といった単語から箱の形を決めましたが、テーマに翻弄されている状況と栃の杢を見て題を「nami(浪)」としました。
結果、箸も棒も収納するには向かない箱が出来上がりました。
②工芸家という職業を選んで「よかったなあ」と思うのは、どういう瞬間ですか?
技術的なプレッシャーに勝てたときは達成感があります。
③工芸家という職業を選んで「失敗したなあ」と思うのは、どういう瞬間ですか?
自ら選んでやっていることなので、失敗した感じは今のところありませんが、製作時の失敗はしょっちゅうあります。
④超絶技巧と天才的発想力。選ぶとしたらどちらですか? その理由も教えてください。
何かを作るときの起点となるので、発想力は必要だと思います。
超絶技巧も「技術を魅せよう」という天才かもしれない人の思いつきで生まれたものだと思っています。
⑤あなたのいつもの作風を、音楽か、映画か、小説か、詩か、風景か、植物か、動物か、食べ物か、飲み物にたとえてください。
木工芸は樹木から部材を選定し、切り出し、それらを再構築することで作品が出来上がりますが、この工程が何かに似ているなあと考えたところ、ヒップホップのサンプリングでした。
⑥あなたは結局のところ、誰に向かって作品を作っていますか?
最終的には自分に向かっている気がします。
⑦美術品、工芸品、遺宝などで、盗んでも自分の傍らに置きたいものはありますか? それは何ですか?
特にありませんでした。